身体の仕組みを知ってピアノ上達!古屋晋一先生著『ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム』の紹介

音楽

先日、古屋晋一先生の著書「ピアニストの脳を科学する超絶技巧のメカニズム」を読みました。

本書はピアノの技術について学術的な視点と研究データに基づいて理論的に書かれているというピアノ読み物に関しては非常に珍しい書籍で、上達するためのヒントがたくさん散りばめられています。

特に、子供に楽器を習わせたい方や、よりピアノの技術を向上させたい方にオススメです。

本記事では私が読んだ中で特に勉強になったところを、自分なりの解釈とセットで紹介していきたいと思います。

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超絶技巧のピアニストたち

Nikolaï Lugansky plays Liszt's Feux Follets Transcendantal Etude at the 2008 Verbier Festival

超絶技巧と言われるピアノ曲を、まるで歌ったり呼吸をするかのように優雅に弾きこなすピアニストたち。

ピアノ未経験者/経験者問わず、ピアニストたちが何故、どうやってあれほどまで指を速く正確に動かせてしまうのだろうと気になる方も多いと思います。

私もその一人です。自分がいくら練習しても、リストの鬼火のような重音のトリルは弾けるようになるイメージが全く湧きません(笑)

ピアニストたちは何故あんな人間離れした演奏をできるのか。

そこが本書籍で語られる、一番のテーマです。

省エネできる脳

ピアニストが超絶技巧ができるのは、指の筋肉が人並み外れて強いとかではなく、「脳」に決定的な違いがあるそうです。

人間の指は「運動野」と言われる脳部位にある神経細胞が身体に対して「動け」と司令を送ることで、電気の信号が送られ筋肉が収縮して動きます。

普通は、指の動きが素早く複雑になるほど、より多くの神経細胞が活動させなければいけないのですが、ピアニストの場合は、同じ速さで同じ指の動きをするために活動させなければいけない神経細胞の数が一般人より少ないという研究結果が出たそうです。

つまり、ピアニストの脳はたくさん働かなくても複雑な指の動きができるように洗練されているということです。

それが、省エネできる脳」。ピアニストの脳は非常にコストパフォーマンスが良いのです。

そのため、普通の人には限界と感じられるような非常に速く複雑な指の動きでも、ピアニストの脳の場合はまだ余力が残っていて、その余力を、演奏表現などに回すことで華麗な音楽を奏でることができるのでしょうね。

ピアノ脳を鍛えるにはとにかく練習量

では、そんな「省エネできる脳」を作り上げるにはどうすればいいか?というのが気になると思います。

ですが、省エネ脳を作るための魔法などは存在せず、やはり「練習量」がものを言うそうです。

それは、「人間の脳は使えば使うほど増える性質を持っている」というシンプルな理由からです。

ピアニストの超絶技巧を可能にする脳細胞は、幼い頃から長年にわたり毎日何時間も手指を動かしている莫大な練習量によって洗練されているそうです。生まれつきの才能というわけではありません。

やはり練習量は絶対であって、裏切らないということですね!

また、脳を鍛えるということが大事ということは、あまり集中せずにダラダラ練習しても駄目で、頭をフル活動して集中して練習することが大事だと改めて思いました。

ピアノを始めた時期によって脳の発達のしかたが異なる?

「ピアノは小さい頃から始めないと上手にならない」という話。
誰もが一度は耳にしたことがあると思います。

「上手」いう定義にもよってまた話が変わってくるとは思いますが、

実際のところ、ピアノを始める年齢と上達具合の関連性はどうなっているでしょうか?

こちらについても本書で細かく分析されていたので、紹介したいと思います!

結論からいうと、
指を素早く動かすための脳の発達には子供の頃の練習が有効というのはどうやら間違いなさそうです。

特に、指を独立させたり、両手の動きを協調させる能力に関しては、

11歳までに行う練習ではすればするほど発達するが、
12歳以降に行う練習ではたくさんすれば発達するというわけではない

という事実が研究データから判明しているそうです。

お子さんにピアノを習わせたいと考えている方は、
11歳までにできるだけたくさん練習させた方が良いというのを覚えておきましょう!

ただし、大人になってからの練習では上達できないということはないとも述べられているので、私含め大人からピアノ始めた人も安心ですね!

確かに早くから始めておけば指を速く動かしたり、左手を起用に動かしたりするうえで有利な点は多いですが、大人になっても脳の神経細胞は増えるので、練習時間さえたくさん確保すれば、いつからでも上手になるチャンスは残されているそうです。

人間に限界なんてないんです。
コツコツ練習して、どんどん上達していきたいですね!

イメトレと実際の練習の組み合わせの効果は絶大

実際にピアノを弾くのではなく、指の動きを頭の中で鮮明にイメージすることによって練習するイメージトレーニング。これはかなり重要だと感じました。

イメージトレーニングは、それ自体でも一定の効果を発揮しますが、際のピアノを使った練習と組み合わせたときにより大きな効果を発揮するそうです。本書の中の調査データで、以下のようなものがありました。

グループA:5日間毎日2時間、実際にピアノを弾くだけしてもらう
グループB:5日間毎日2時間、イメージトレーニングだけしてもらう

グループBに最終日だけ、トレーニング後に実際にピアノを弾く練習をしてもらったところ、指を動かす神経細胞の働きがグループAとほぼ同じ程度向上していたそうです。

これは、ピアノ時間が限られている大人ピアニストにとってかなり有意義な情報ではないでしょうか。

つまり、出張などで数日間、実際にピアノを弾くことができなくても、イメージトレーニングをしっかり続けていれば、毎日弾くのと変わらない程度ピアノが上達できるということです。

ちなみに私もこれ、何回か試したことがありますが、実際に効果を感じました。
ただし、結構疲れます(笑)

イメージトレーニングって、ピアノを弾くよりも集中力が必要なので、
脳が疲れちゃうんですよね。でも、それだけ効果がある証なのかもしれません。

おわりに

本書は、研究データや学術的な目線からピアノ演奏について書かれているという
ピアノ読み物に関しては非常に珍しいタイプの書籍です。

新しい知識を得るだけでなく、実際に演奏をする上で今まで考えもしなかったところからヒントを得ることができるかもしれません。

ここで紹介したのはかなり一部分でしかないので、ピアノと脳科学をもっと知って知識・技術向上に活かしたいという方はぜひ本書を手にとってみてくださいね!

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