小説「蜜蜂と遠雷」(恩田陸さん)感想

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恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」を読んだので読後の感想を書いていきたいと思います。

※若干ですがネタバレもあるのでご注意ください

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小説「蜜蜂と遠雷」の感想

恩田陸さんの小説はなにげに初めてでしたが、友人と小説トークになった際に、「音楽好きなら、蜜蜂と遠雷は絶対読むべき!!」と強く勧められたのがきっかけで、読み始めました。

今回、文庫本で読んだのですが上巻下巻合わせ1000ページ弱となかなかのボリュームでした。
そして、内容は至ってシンプルで2週間に及ぶコンクールを予選から本戦まで時系列に沿って展開されていくだけ、というかなり思い切った作風でした。

ですが、栄伝亜夜マサル・カルロス・レヴィ・アナトール高島明石といった個性的かつ魅力的なコンテスタントそれぞれの音楽との向き合い方であったり、過去にあった挫折や葛藤の話がテンポよく展開されます。
そして受賞歴もなく無名であり、自宅にピアノすら無いという一人の天才児である風間塵

彼らがこのコンクール出会い、お互いに感化されるように成長していく姿を見ていくのはとても楽しく、スルスルと読み進められてしまい、 1000ページといえどもあっという間に読み終わってしまいました。

演奏シーンでは文字表現がとても多彩で、文字を読んでいるだけなのにまるで音楽を聴いているような感覚になれる、そんな作品でした。
途中から彼らが演奏している曲を実際に流しながら読書していたんですが、さらに臨場感アップするのでそういう読み方もお勧めです!

また、コンテスタントだけでなく、彼らを支える周りの人たちや、審査員などの関係者たちの視点でも群像劇的に進んでいくのが新鮮でした。

登場人物は全員魅力的なんですが、特に自分が印象的だったのが高島明石ですね。

マサル、塵、亜夜と超の付く天才ばかりが並んでいる中で、明石だけは唯一の一般人に近い立ち位置でした。(明石自身も天才の類いであるのは間違い無いですが)

彼は音大卒で過去にコンクール入賞歴もありつつ、卒業後に演奏の世界に進まず、サラリーマンへと人生を進めた人物で、音楽への夢を諦められずに、ずっとピアノを練習し続けてきました。

彼は、今回のコンクールを音楽家としてのキャリアを終わらせるためのを諦めるための節目として置いていましたが、結果的には、「音楽活動を続けていく」決断をしました。

こういう人がしっかり評価され、2次で落ちてしまったものの奨励賞と菱沼賞という輝かしい賞を獲得し、栄伝亜夜からも称賛の言葉をもらえたのが、非常に感動的な展開だったと思います。

特に、(個人的にですが)彼の語る言葉にはすごく刺さるものが多かった印象です。

初めてのグリッサンドをした時の涙が零れるほど痛かったエピソードとか、繰り返し聴いていた名曲を練習して弾けるようになって、自分の指からその生み出される感動とか。

あと予選前での明石の緊張で靴紐の結び方を忘れてしまったのは印象的でした。さすがに靴紐の結び方を忘れたことは無いけど、緊張のあまり演奏する曲をド忘れするのは、自分も経験があるのですごいわかるなぁって思っていました。(ここまでの演奏家と自分如きを並べて考えるのはおこがましいですが・・・w)

読者の目線に一番近いコンテスタントだったから、一番共感できたのかもしれません。

と、感想は以上になります。

あらためて音楽の素晴らしさというものに気づかせてくれる素敵な作品でした!ぜひお勧めです。

映像化もされているので、小説が苦手な方はそちらを見てみると良いかもしれません。

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